「AIに何を聞くか」ではなく「どう聞くか」が、将来の資産に大きな差を生むかもしれない——そんな研究結果を、スタンフォード経営大学院のTim de Silva氏とMIT Sloanのチームがワーキングペーパーとして公開しました(DOI: 10.2139/ssrn.6446286)。出典はPhys.orgの紹介記事です。
研究の中身
研究チームは1,000人の参加者に、お金に関する質問を3問ずつ自分の言葉で書いてもらい、集まった計3,000のプロンプトをChatGPTとGeminiの2つのAIに投げました。そして「AIの回答どおりに行動した場合」の生涯シミュレーションを行い、聞き方の違いが資産にどう響くかを計算しました。
結果は、金融知識が低い人の聞き方では60歳時点で約5万ドル、AIに不慣れな人の聞き方では約10万ドル、資産が少なくなるというものでした。同じAIを使っても、質問の立て方しだいで得られる助言の質が変わり、その積み重ねが数万ドル単位の差になる、という試算です。
「AIがあれば格差が縮まる」とは限らない
この研究が示唆するのは少し不都合な事実です。AIは誰でも安く使える道具になりましたが、道具から良い答えを引き出す力は、もともとの知識やAIへの慣れに依存します。つまり、使い方の格差がそのまま結果の格差として残る——場合によっては拡大する可能性すらあります。
なお、これはあくまでシミュレーション研究であり、実際の人々がAIの回答どおりに行動し続けるわけではありません。金額の数字は「そのまま現実になる予測」ではなく、聞き方の差の大きさを示す目安として読むのが適切です。
実務的な教訓
教訓はシンプルで、AIに大事なことを相談するときは、前提(自分の状況・制約・目的)を具体的に書くことです。「おすすめの投資は?」より「40歳・会社員・毎月3万円・20年使わないお金の置き場所の選択肢と、それぞれの注意点は?」のほうが、AIの回答の質は目に見えて変わります。質問に含めた情報の量と正確さが、そのまま回答の質の上限になります。
本記事は 2026-07-18 時点のPhys.org掲載記事と公開ワーキングペーパーの情報に基づきます。本記事は特定の投資行動を推奨するものではありません。